メディナのなか スペイン・モロッコ旅行(4/6)

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モロッコの痩せた大地

観光バスは結構なスピードで走る。 地中海に面した海岸側には、外国人向けのリゾートホテルが立ち並んでいる。 そのどれもが、外国資本によるものだ。 ホテル地帯を過ぎると今度は廃墟のような建物の景色が続く。 舗装がよくないので乾いた道路から砂が舞い上がり、風景が埃っぽい。 そして建物の群れを抜けると、痩せた大地が目の前に広がった。

この大地では多くの人間を食わしていけないな。 これが自分の感想だった。 途中のらくだ付き休憩をはさんで、バスは一路ティトアンへ。 ティトアンには世界遺産にも登録されている旧市街地区があるのだ。 バスはほとんど山もない平坦路を進んでいく。セウタから2時間ほど走ったころ市街区が現われた。 バスは市街区を走り、やがて古い城壁のそばにバスを停めた。

城塞都市に入る

城壁の中はメディナと呼ばれる旧市街区になる。 城門の階段状になった入り口をくぐると、そこから隘路が始まっている。 隘路の両側には果物や野菜を売る商店が軒を連ねていた。 ガイドはどんどん隘路を進んでいく。 皆は、道の狭苦しさと市場の熱気を楽しみながらガイドを追う。 道は迷路に入り組んでいて、わくわくしてくる。 敵の侵入に備えて街をわざと迷路状にしているのだろう。まさに城塞都市(カスバ)だ。

ガイドは右へ左へと道を変えながら進む。 こりゃガイド無しではこれない。 道に迷ったら大変なことになる。 ツアー客の迷子防止のために別のガイドがサポートに入った。 個人的にはもう少しゆっくりしたいところだったがそうもいかない。 洋服屋街、アクセサリー屋街、アラブ街、ユダヤ街、何でも屋、イスラム寺院。 そして、蛇遣い。コブラはなかなかの迫力だった。

絨毯屋さんにて

一行は絨毯屋さんに到着した。 売り込みの前に屋上を開放してくれたので、3階まで階段を上がり、さらに屋上屋を上がるとそこは絶景。 なだらかな山地に白い建物の群れが張り付いている。 低層の建物ばかりだし、道路が広く確保させていないので、正に張り付いているという表現をするしかない。 統一性のない増築に増築を重ねたような街の風景は奇観ではあるがどこか安心させられる。 唯一の高い建物である、イスラム寺院の尖塔が景色に映えていた。

その後は、ツアー客を英語チームとスペイン語チームに分け、絨毯屋さんのプレゼンテーションタイムが始まった。 店のおじさんが、床に何枚も何枚も絨毯をひいて熱心に商品説明をする。 まあ、商品は悪くないのだが持って帰れないし、配送してもらうにもちゃんと送ってくれるのか不安だ。 結局、買う気になったのはたった一人だった。

ランチタイム

お昼をかなり過ぎて、お腹がぺこぺこになった頃、ようやくレストランに到着した。 サンディエゴからやってきたという夫婦と同じテーブルにすわった。 絨毯買った?と聞かれたが、あんなの持って帰れんしと答えるとそりゃどうだなと大笑い。 モロッコはどう?と夫妻に聞かれる。私はちょっと怖いね。と答えた。 暴力をふるわれるという意味での怖いでなく、生きている世界が違いすぎるというのは少し怖い。 ここに妻がいたらどう言うだろうか。

食事メニューはなんかすっぱい微妙な味のスープと、シシカバブ(串焼きですな)、クスクスだった。 典型的なモロッコ料理で、見かけは結構あぶなげであったものの、案外いけた。 実は、イギリス生活の為、自分の味覚が退化していることはかなり自覚しているのだが、アメリカ人夫妻も美味いといっていたので、多分おいしかったのだろう。 民族楽団と、ベリーダンスとおっちゃんの曲芸を見ながらの楽しい食事であった。 尚、このツアーは食事付きだったのだが、飲み物は別料金であった。 ソフトドリンク一本1.50ユーロ。楽団及び、演芸には2ユーロのチップを払った。

タンジールへ

食事のあとは、メディナとはお別れとなった。 ガイドと路上土産物屋との小競り合いが多少あったが、おおむねトラブルもなかった。 次の目的地はタンジールである。 長いドライブの後、タンジール市街に到着。 市街は少し古ぼけてはいるものの、道路幅も広く、スペインと大きく変わらない。 ただ、ビルの建築現場をたまたま見たのだが、ビルの壁面がレンガで構成されているのがわかったのには魂消た。 中東で地震が起こりしばしば大災害として報道されるが、その原因が良く分かった気がした。 バスはそのまま海が見える旧市街へと進み広場へと出た。その光景は映画などで見るイスラムのバザールそのままだった。

ツアー一行はバスを降り、しばしミーティング。 タンジールでのガイドはかなり高齢と見えるおじーちゃん。 3ヶ国語の説明が始まるが、発音が奇妙なので、みんなは大喜び。 そんな間も現地の方々がスリを狙っているのか何をやっているのか興味深々なのかツアー客の輪に接近してくる。 自分の荷物が不安で気が気ではない。 一行はタンジールのメディナに突入する。 商店の感じはスペイン風でティトアンとは少し違う。羊の肉の塊を肩にかついだおじさんが自分の真横を駆け抜けていった。

さらば、アフリカ大陸よ

到着したのは土産物屋。 タンジールでの観光プログラムはほとんど土産物屋のみであった。 香油注しなど良さげなものはあるのだが、仕上げがいまいちで買う気がしない。 「こんにちわ」だのの日本語での接客を避けつつ出口を窺うとそこにはフリーの土産物屋の群れが。 怖くて単独では表にでられない。 かれらが一瞬にして泥棒に変化したらと思うと危険極まりない。 土産物屋を出たあとからバスまでの売り込みはすさまじいものだった。 気のいいアメリカ人のおじさんは太鼓だのナイフだの買ってしまっていた。

私は黙っていたため、何語で話し掛けるべきか分からなかったらしく、 幸いにも売り子の大猛攻を避けることができた。 もっと良い土産物があれば考えなくも無いのだが。土産物のセンスは日本のひなびた温泉街なみなのである。

タンジール観光を終えた我々はバスに戻り、セウタへと帰る。 ふたたび国境を越え、パスポートを返してもらった時には、久しぶりに外国に行ったなという感慨があった。 旧西側世界ってやつは、多少異なるだけで、日本とそう違わないと思う。 だが、イスラム世界は本当に異国だ。標識も全然わからないし。 セウタの港からフェリーが出航する。 さらば、モロッコ。さらば、アフリカ大陸。私はいつかまた来ることを誓った。 アルヘシラスに到着すると午後9時だった。 外はようやく暗くなり始めたぐらい。 ホテルに帰って生ハムとカバで乾杯した。明日はバルセロナに向かう。

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このブログ記事について

このページは、kowasが2008年3月22日 23:09に書いたブログ記事です。

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